第58章 飯は置いて、彼を帰らせる

翌日の午後。

中尾美希は早くから路肩に車を停め、待ち伏せするように校門を見張っていた。ほどなくして下校したばかりの中野蓮が、矢でも放たれたみたいに飛び出してくる。

そしてそのまま、道端に立つ――上品で、手入れの行き届いたセレブ然とした女性の胸へ、勢いよく飛び込んだ。

その懐きっぷりが、美希の目にはやけに眩しくて、腹の奥がちりちりした。

……自分だけじゃないんだ。

中野蓮は、ほかの誰にだって、あんなふうに甘えられる。

恩知らず。

心の中で吐き捨てながら、彼らが隣に停めた高級車へ乗り込むのを見送る。

相手が誰なのか、美希にはだいたい見当がついていた。

だから迷わずアクセルを踏み...

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